効果
なお,今までここで説明していました「有効な透析量」の話題は,目標に移動しました.
HHDの効果と言うよりも,HHDによって実施しやすくなる透析方法によって得られるであろう効果について調べてみました.ですから,HHDだから「必ず」こういう効果が出る!と言うものでもありませんので,最初にお断りしておきます.
通院の負担
これは大きな問題です.必ずしも近くに透析施設があるわけではありませんし,週3回の通院時間は相当な負担となっています.
私の場合は,最寄りの施設が15km程度離れていましたので,自家用車(4WDが不可欠)で通っていました.勿論,春夏秋冬,台風が来ようと大雪になろうとお構いなしです.
やっとの思いで病院に着いても,駐車場が狭いので空き待ち状態.ストレスが貯まります.
帰りも,フラフラした気分のまま無理に車に乗り込み,そろそろと帰宅するというのも,結構危なっかしい・・・暴漢に襲われそうになってフルスピードで逃げたこともありました. 透析患者が喧嘩に巻き込まれるのは自殺行為です!
ところが・・・HHDを始めると,こういう無理な通院は不要となります.
家族の方も,道中を心配しなくて済みます.ストレスが激減ですね.
拘束時間
施設透析では限られたベッド数で複数の患者を治療するわけですから,例えば夜に透析予定の患者さんの前の昼予定の患者さんが遅くなったり,急患が居られたりでスケジュール通りに運ばないのが常です.
大きな施設で総合病院を兼ねているところ等は,他の病棟に手を取られることも有ったりで,予定時刻が有って無いようなものです.
ですからどうしても拘束時間は「透析時間」+「準備,止血時間」+「待ち時間」となり,この「待ち時間」が30分なら未だ良い方で,1時間以上というケースも有り得ます.つまり「4時間透析」なら「5時間拘束」と言うことに.通院時間と合わせれば・・・(私の場合は5時間半~6時間半)
透析効率
長い目で見て,このことが一番の「効果」になります.施設透析ではどうしても制約が伴いますから,頑張っておられるところは「長時間」透析にも対応されているものの,殆どの施設が「週3回,4時間透析」で横並びとなっています.
- 透析回数
- これは施設透析では最も大きな壁です.たとえ施設が受け入れてくれたとしても患者側にとっても拘束面で負担増になってしまいます.
- 透析効率には回数が最も効果が大きいとされていますから,期待できます.
家族の理解
- HHDの場合は,家族が「透析の現場」を目の当たりにするわけですから,最初は少しショックを受けたりします.「エッ!こんなに血を外に出して大丈夫?」とか「わぁ・・・痛そう!」等と.
- やはり「実際に透析している現場」は,何も知らない家族にとってかなりインパクトの大きいもののようです.実践ビデオも効果があります.・・・ちょっと「怖がるかも知れない」内容ですが.
- で,何回か行っている内に自然と透析に対する家族の理解が得られるようになります.
- 今まで患者本人だけの「孤独な」治療だったのが,家族を交えての治療となって,家族との交流も深まるというモノです.
QOL向上
- QOLの向上に先ず私の場合「無理なお通じを意識しなくて良い」事をあげますね.と言うのも,前にお世話になっていた施設の場合,透析中に便意を催した場合は,その場で排便を強要されました.ですから,どうしても開始前にトイレに向かう癖がついてしまって無理にいきんでしまうことから,先日の憩室炎騒動の引き金になったと確信しております.
- 続いて,有る程度自由な飲食が可能で,透析中でも安定していれば飲食可能.これは大きなメリットです.透析によって抜けていくアミノ酸なんかをどんどん摂取しなければいけないぐらいですから.
発汗も人並みに戻ってきて,水分補給も普通に行っても大丈夫な様です.・・・口渇感があまりなくなって来るというのも一因で,それほど水分を要求しなくなりますけどね.
- 半年も経過すると薬物の投与量を減らせるケースが多いようです.私の場合は,3種類も服用する必要があった降圧剤が不要となりました.
- テレビ等を「イヤホン無し」で「普通に」視聴できます.これは「幸せ」です.映画などに思いっきり感動して「涙を流す」事もできます.
デメリット
デメリットも報告しないことには,不公平ですよね.
先ず,最も大きなデメリットは「介助者の負担」です.続いて「高度な自己管理」,「危機管理」,「生活スペースの減少」,「血液流量の制限」と言ったところでしょうか.
- 介助者の負担
- 殆ど一人で実施されるケースもある
- 高度な自己管理
- 危機管理
- 生活スペースの減少
- 血液流量の制限
- 患者間の交流不足
- スタッフとの交流不足
- 自己穿刺へのプレッシャー
ただ,自己穿刺へのプレッシャーは次第に解消されるようです.
- 光熱水費の負担増
- 家庭にいながら透析中は「動けない」もどかしさ
- 介助者は遠方には移動できない(すぐに対応できる体制)
この辺は,如何ともし難く,携帯人工腎臓でも完成しない限り我慢しましょう. 私の場合は,光熱水費の負担増は通院時のガソリン代で十分チャラだと思いますが,それより「拘束時間」の減少の方がずっと効果があります.